9月26日に長編『エレファントヘッド』が刊行されます。
オビで「絶対に事前情報なしで読んでください」と謳っていることもあり、事前に書けることが少ないのですが、執筆の背景について少しだけ書いてみたいと思います。
2022年に刊行した『名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件』は、謎解きの構造に関するアイディアを中心に据えた作品でした。ぼくはこうした作品が大好きなのですが、一方でこの手の作品は入り組んだものになりやすく、執筆中、もっとシンプルに、磨き抜いたトリックやロジックで読者を驚かせるような作品こそが優れた謎解きミステリーなのではないか、という思いがたびたび湧き上がってきました。
さいわい『名探偵のいけにえ』はさまざまな形で高い評価をいただくことができたのですが、次はよりオーソドックスに、魅力的な謎、ロジカルな推理、意表を突くトリック、といった謎解きミステリーらしい要素で勝負する作品を書きたいと思い、この作品を構想しました。
いざ書いてみると、とてもオーソドックスとは言い難い、むしろいっそう複雑に入り組んだ作品になったような気もするのですが、とはいえ本作は、上記のような謎解きミステリー本来の面白さを屋台骨に据えた作品になったのではないかと思っております。
他にも本作にはいろいろな思いがあるのですが、ネタバレせずに書くのは難しいのでこの辺りにしておきます。読者の方が作中の事件や推理を楽しんでいただけますよう願っています。
今回もときわ書房本店さんの店頭やオンラインストアで購入いただくと、おまけペーパーの『ドッグマン』が付いてきます。こちらもぜひよろしくお願いいたします。
(2023/9/23)